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HOME > 第96回 薬剤師国家試験総評
六年制カリキュラムを意識した内容が散見されました。
大きく変化しているのは、薬剤師業務、薬事関係法規です。
薬剤師業務の分野では、過去問題がベースになってはいますが、問題の切り口が新しく、思考力が問われる問題へと変化しています。
また、薬事関係法規では、新しい内容として、一般用医薬品の販売方法、後発医薬品の代替調剤に関する問題が出題されました。
さらに薬物動態学では、添付文書から必要な数値を抽出する力が問われた問題が印象的です。
来年はさらに臨床の現場に則した内容に移行することが予測されます。
臨床では正解はありません。今後の国家試験では、多数の情報から必要な情報を自分で抽出する力、誤りのない選択肢の中から最良の選択肢を選ぶ力が問われることになるでしょう。
| 科目 | 総評 | 出題数 | 予想 平均点 |
過去問題 類題 |
難易度 ★ :低 ★★ :中 ★★★:高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1日目 午前 | |||||
| 有機化学 | 全体的な難易度は「中程度」。過去問題を解く知識があれば解答を導くことができるものが多かった。また、イオン化エネルギー、電子親和力等高校化学で学ぶ知識を問う問題も出題された。例年通り他科目との関連問題が2題出題され、ペプチドや糖質など生化学の知識が必要なものであった。 | 15 | 8 | 2 | ★★ |
| 物理化学 | 熱化学方程式のように高校化学で習得する内容(問18)から大学で習得する内容まで幅広く出題されている。連鎖反応の反応次数を解答させる新問題もみられた。過去問や基本事項を習得していれば、8問中4問以上は得点できたと思われる。今後の対策として、高校化学からの基礎学力の強化が必要であると思われる。 | 7 | 4 | 3 | ★★ |
| 分析化学 | 問題数は12題。難易度は例年通りであり、過去問題を解く知識があれば解答を導くことができるものが多かった。 | 12 | 7 | 3 | ★ |
| 放射化学 | 例年、基礎薬学で1題、衛生薬学で1題、医療薬学(2日目午後)で1題の計3題が出題されていたが、今回は基礎薬学で1題、衛生薬学で1題の計2題であった。問題の難易度は例年通りであった。 | 2 | 1 | 1 | ★★ |
| 生薬学 | 例年通り3題出題された。植物成分の構造や生合成経路、生薬の起源植物の科名、主要成分を問う問題のみならず、漢方処方の配合を問う新規の問題も出題された。特に漢方処方の問題は、今後の六年制カリキュラムを意識しての出題であると考えられる。 | 3 | 2 | 1 | ★★ |
| 生化学 分子生物学 |
例年と比較すると難易度は「低い」。目新しい記述もみられたが、選択肢で十分解答を導けるものであった。内容は過去問ベースであり、あとは文章を読み取る力があるかどうかで明暗が分かれるものであった。 | 9 | 6 | 1 | ★★ |
| 機能形態学 | 基本的な解剖生理の知識を問う内容であった。過去問題や類似問題はないが、過去問題を理解していれば選択肢から容易に正解に到達できる。 | 9 | 7 | 0 | ★ |
| 免疫学 微生物学 |
免疫学では、サイトカインの基本的な知識を、微生物ではウイルスの基本的な性状、細菌の毒素の特徴を問うものであった。難易度は高くはないが、過去問題と類似した記述はなく、過去問題を暗記しただけの学生には難しく感じられたと思われる。 | 3 | 2 | 0 | ★★ |
| 1日目 午後 | |||||
| 衛生薬学 | 問われる内容が全体的に新しいものが多く、また、問題文の情報を正確に読み取らなければ、誤った選択肢に誘導される問題も目立つ。そのため難易度は「高い」。過去問再出題は昨年と同様に6題とやや少なく、構造式の問題も1題と例年より少ない。食品汚染(食品の表示、食品中の残留農薬)などトピックス事項の出題に加え、薬理学、薬物動態学など他科目の知識を問う問題も多くみられた。基礎的事項の理解に加え、思考力、応用力が求められる内容であった。 | 40 (放射 1題 含む) |
26 | 6 | ★★★ |
| 薬事法規 | 難易度は「中程度」である。一般用医薬品の販売方法、後発医薬品の代替調剤等の新傾向問題の出題がみられ、実際の薬剤師業務に関する細かな内容を問う問題がみられた。六年制に向けて、この傾向は続くと考えられる。新傾向問題は難易度が高いものもあるが、その他の問題は過去問の復習で十分に対応できるレベルとなっている。 | 20 | 15 | 3 | ★★ |
| 2日目 午前 | |||||
| 薬理学 | 全体的に過去問に準じた問題がほとんどである。新規薬物は抗悪性腫瘍薬以外の分野に関する分子標的治療薬が多く、数問新規薬物に関する問題が出題されていたが、選択肢での対応が十分可能である。最近の傾向通り、中枢疾患や循環器系疾患や代謝系疾患に関する出題が多く、難易度は例年通りであった。 | 30 | 24 | 5 | ★★ |
| 薬物動態学 | 過去問の内容に添った問題が多く出題された。また、添付文書に記載されているような形式で表やグラフが出題されており、その中から必要な数値、データを読み取る力が求められる問題が増えていた。六年制を意識したものと考えられる。新規問題もあったが、過去問や基礎知識を習得していれば選択肢から解答可能である。難易度は例年通りであった。 | 15 | 10 | 6 | ★★ |
| 物理薬剤学 | 基本的には過去問に準じた問題がほとんどであった。基礎知識や定義を理解すれば高得点に結びついたと思われる。前回(95回)同様、難易度の「低い」問題が多かった。89回以来、プロドラッグが1問出題された。 | 6 | 4 | 1 | ★ |
| 製剤学 | 難易度は、前回(95回)同様例年通りであった。過去問を確実に解きこなせば、高得点も期待できる。しかし、GMPに関する新規問題が出題され、これは六年制を意識したものと思われる。今後、他科目とのつながりも意識した出題も視野に入れ、過去問の内容の理解と確実な知識の習得が重要である。 | 9 | 7 | 3 | ★ |
| 2日目 午後 | |||||
| 病態生理 薬物治療 |
真珠腫性中耳炎や肺性高血圧などマイナーな疾患に関する問題が多い。また、解答や選択肢が不適切と思われる問題も3問見受けられる。学生にとっては例年と比較して難易度が高く感じられたと思われる。考えさせる難しさではなく、どれほどマイナーなことを知っているかが問われる難しさがあった。 | 30 | 19 | 1 | ★★★ |
| 病院実務 | 過去問に準じた内容がベースであるが、問題の切り口が新しく、思考力が求められる内容が多かったため「やや難しい」印象を受ける。四年制最後の試験ということもあり、昨年以上に現場を意識させる内容(麻薬の調剤、散剤の調剤、保険調剤等)や新しい内容(メチルフェニデートの扱い)の出題が目立った。実務実習等で得た経験をいかに試験へ反映させることができるかが、今後の鍵となるだろう。 | 27 (輸液・注射剤・抗悪性腫瘍薬5題含む) |
20 | 4 (1) |
★★ |
| 総合問題 | 今回は症例形式ではなく処方せんから問う形式であった。内容は医療全般の知識を必要とした問題であったため、難易度が「やや高い」印象を受けたように思われる。しかし、基本的な内容を幅広く習得すれば、得点に結びついたと思われる。今後は、薬理学、薬剤学、病態生理、実務など幅広く知識を問うものが予想されるため、医療を中心とする総合的な知識の習得が必要である。 | 3 | 2 | 0 | ★★ |
| 合計 | 240 | 164 68.3% |
40 | ||