本文へジャンプ

ここから本文です

HOME >薬剤師の使命

薬剤師の仕事

病気の治療や予防、健康の維持などのために、薬は私たちの生活に欠かせないものになっています。病気やけがで、病院や診療所(医院)にかかって薬をもらったり、体調がすぐれないときに町の薬局・薬店で大衆薬を購入したことがきっとあると思います。
こうした薬が製薬企業で作られ、医療機関や薬局等を経由して消費者の手に届くまでのすべての過程で、薬学を基礎とした専門的な立場から関与しているのが薬剤師です。
薬剤師の任務は、薬剤師法という法律で「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と規定されています。

 

薬剤師の使命

今回は神戸大学医学部附属病院薬剤部にお邪魔し、医療薬学教育界の第一人者、平井みどり先生にお話しを伺いました。平井先生は、薬剤師と医師の二つのお顔を持った医療薬学教育界の重鎮です。CBTが終了し、いよいよ今年から薬学部5年生は6年制カリキュラムの目玉ともいえる実務実習がスタートします。現場薬剤師、そして教育者の視点から様々なお話しをお聞きしました。

平井 みどり 先生 

神戸大学医学部 教授 神戸大学医学部附属病院 薬剤部長
平井 みどり 先生 

神戸大学医学部教授(前神戸薬科大学教授)
神戸大学医学部附属病院薬剤部長
1974年に京都大学薬学部を卒業後、神戸大学医学部に入学し85年に卒業、
同年医師免許を取得。
90年に同博士課程を修了し、神戸大学病院薬剤部の文部技官を経て、
京都大学病院薬剤部に助手として採用。
95年から神戸薬科大学に助教授として赴任、02年から臨床薬学教授を務める。
07年に神戸大学医学部教授、神戸大学医学部附属病院薬剤部長に就任。
薬剤師と医師の二つのお顔を持った医療薬学教の第一人者。
薬学会などでも各種委員として活躍される重鎮。



薬剤師の使命

児島 : お久しぶりです。やっと先生にお会いすることができました。
多忙な中、お時間を頂きましてありがとうございます。


平井 : こちらこそ。いつも学会などでお会いしますが、なかなかお話しする機会がなくて。私も児島さんといろいろお話しをしたいと思っていました。


児島 : 早速ですが、今年からいよいよ実務実習(以下実習)がスタートしますね。


平井 : そうです。旧カリキュラムでの実習は、実習期間が短く、残念ながら場合によっては見学だけ、といったようなところもありました。また、病院実習は義務づけられておりましたが、保険薬局での実習は必須ではなく、薬剤師の役割を知るためには十分なものとは言えませんでした。新カリキュラムでは実習期間が2.5ヵ月と大幅に延長されました。この期間、学生は病院と保険薬局の両方で薬剤師の仕事を体験することができます。


児島 : コアカリキュラムによると、実務実習の目的は、主に「技術・技能の習得」となっていますね。


平井 : そうです。しかしながら、これだけが目的ではありません。患者さんに接することでコミュニケーションを取ることの難しさや倫理的な問題に直接触れることができます。コアカリキュラムにとらわれず、様々なことを経験し、学んで欲しいです。


児島 : 平井先生、これはなんですか?


平井 : ああ、これは薬剤部で購入した聴診器と血圧測定器です。明後日、薬剤部のメンバーで聴診のレクチャーを受けます。最近知ったんですけれど、今の聴診器はとても良く聞こえるのよね。びっくりしました。私の聴診器は20年も前のだけど…。(笑)


児島 : なかなかの年代物ですね。そのうちプレミアが付くかもしれませんよ。(笑)メディセレでも聴診の講座を希望者に実施しています。


平井 : まぁそうなんですか!すばらしいことですね。私は常々、薬剤師は薬物治療に責任を持つべきだと考えています。薬物治療を責任持って行うためには、両手を後ろで組んでいてはだめです。しっかり患者さんを診て、触れて、副作用の徴候は無いか、薬の効果が現れているか、患者さんの病状や症状が改善されているか、そういった患者情報を集めなければなりません。もちろん、患者さんの訴えにしっかりと耳を傾けることも重要です。様々な患者情報を収集して、薬剤師は総合的に判断しなければなりません。


児島 : こちらの病院では薬剤師もバイタルサインを診るわけですね。特に最近は、在宅療養患者に対して、薬剤師が服薬指導や投薬をする機会が増えていますものね。このような在宅患者に対しても多くの情報を得ることができれば、より安全で効果的な薬物治療が実践できますね。


平井 : そうです。残念ながら、現在でも「薬剤師は患者に触れてはならない。」と仰る方々をお見かけすることがあります。しかし、それは間違いです。確かに医師法第17条に「医師以外のものが医業を行ってはならない」と書いてあります。しかし、血圧測定や体温チェック、聴診は医業には該当しません。ですから、薬剤師の皆さんは積極的にこういった患者さんのためになる活動を行っていくべきだと思います。

児島 : 調剤薬局でも少しずつ薬剤師がバイタルを診る動きが出ていますね。


平井 : とても良い傾向だと思います。例えば、高血圧の患者さんは、家庭での血圧測定を行うよう指導されていますが、実行できていない方が多いのです。


児島 : 家庭血圧を測定しようと思ったら、血圧測定器を購入しなければなりませんし、私だったら毎日測定するのをおっくうに感じるかもしれません。

平井 : そうなんです。そこで、薬剤師が薬局や在宅療養患者の自宅に赴いて血圧を測定することで、ある程度家庭血圧に近いものが測定できます。


児島 : 確かに、誰かが定期的に測定してくれると楽ですし、忘れずに測定することができますね。


平井 : 病院では、いわゆる白衣性高血圧といって、緊張のため血圧が高めにでる方が多いのです。そこで薬剤師が測定した血圧をお薬手帳に記載し、それを受診の際にドクターに見てもらうことで、降圧薬の数を減らすことができるかもしれません。

児島 : なるほど!お薬の数が減ることは、患者さんにとって喜ばしいことですよね。医療費の削減にもつながりますし。


平井 : 血圧測定だけではなく、聴診のスキルも大変役立ちますよ。最近、増加しているCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんの呼吸音を聴診器で聴きます。すると、ヒューヒューというラ音(雑音)が聞こえる。おかしいな?と思い、患者さんにお話をよく聴いてみると、「2日ほど前にたばこを吸っちゃったんだ」なんて告白されることもあります。COPD最大の原因は喫煙です。もちろん、患者さんは禁煙指導を受けています。しかし、ここで禁煙がうまくいっていないということを知ることができれば、禁煙を困難にしている要因に目を向けることができるわけです。


児島 : 聴診器は便利ですね。そして何より安全ですね。聴診器を患者様の体に当てたところで副作用は無いわけですから…。


平井 :
そうです。

児島 : 先生のお話を聞いていると、薬剤師という仕事がとてもやりがいある仕事だということを再確認させられます。近年、医師不足が社会問題となっていますよね。薬剤師が職能を拡大することで医師の負担を減らすことができれば大きな社会貢献にもなり、薬剤師の存在価値が向上します。

平井 : そうです。現在、医師不足を解消するために医学部を新設する動きもあるようです。しかしながら、新設医学部の入学者が現場で活躍するのは少なくとも10年後です。その10年の間に現場は疲弊してしまうでしょう。薬剤師の職能拡大は、医師不足を解消する速効性のある対策と言えます。

児島 : 医学部を新設するよりもお金もかかりませんし…。

平井 : 経営者でもある児島さんらしい意見ですね。(笑)その通りだと思います。

児島 : 先生とお話しすることでこれからの薬剤師の使命が明確になりました。今日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

平井 : こちらこそ。また来て下さいね。

 

→[対談のトップへ]

資料提供:薬剤師国家試験 予備校 Medisere メディセレ

 

ページの先頭へ

ページの先頭へ